中国人民大学留学レポート

中国人民大学【2016年度後期帰国】交換

レポート作成Y.S

中国人民大学について

 人民大学は中国最重点大学10校のうちの1つで、全国から文系理系問わず優秀な学生が集まる名門大学です。キャンパスはそれほど広くないのですが、校内には食堂、カフェ、コンビニ、ジムなど、生活に必要なものは全て揃っています。寮は毎日清掃され清潔ですし、管理人と警備員が常駐しているので安心安全です。また、学校周辺にはバス停や地下鉄の駅があり、交通の便も大変良いです。人民大学は他大学と比べ日本人留学生の数が少ないですが、様々な国から留学生が来ているため、様々な文化に触れることができます。日本人が少ない環境で中国語を上達させたい人にはおすすめの大学です。

 

渡航前にしておいたほうが良いこと

 当たり前のことですが、中国語の勉強、特にスピーキングやリスニングに慣れておくことは大切だと思います。中国の大学は9月始まりなので、龍谷大学の学生が派遣される2月は手続きやオリエンテーションの規模が小さいです。そのため自分で何とかしなければならないというような事態が頻繁に起こりました。手続きをスムーズに行うためにも最低限の中国語力は身につけておいてください。

 中国に行く前に知っておくべきこととしては、中国では国の規制によりGoogleGmailLINEFacebookTwitterなど、ほとんどのSNSが使えないということです。また中国国内からは閲覧できないインターネットサイトもあります。それらの規制を避けるためにはVPNを利用が必要です。VPNには無料のものも有料のものもありますが、無料のものは一般的に通信速度が遅く不安定なものも多いです。かといって有料のものも規制の影響を受けることがあるので、渡航前にいくつか無料のVPNアプリを入れておいて、現地で使えるものを見極めると良いと思います。

 人民大学からの奨学金は学校指定である中国銀行の口座に振り込まれます。しかしこの奨学金だけでは生活費は足りませんし、クレジットカードも使用できる場所が限られるので日本からの送金は不可欠です。そこで日本からの送金にはCitiBankの利用をお勧めします。日本円で振り込んでも、現地の通貨で引き出すことができます。ATM手数料はかかりますが、中国には対応するATMが多いのでいつでも引き出せますし、現金を大量に持っていく必要がないので安全だと思います。

 

留学中の旅行について

 留学中には連休や長期休暇を利用し様々な場所を旅行しました。私が留学中に行った旅行は、武夷山、上海、大同、厦門、内モンゴル、西安、九寨溝、成都、重慶、平遥、丹東、ハルビンです。まだまだ行きたいところはたくさんあったのですが、残念ながら全部行くことはできませんでした。

私が初めて国内旅行をしたのは、日本のゴールデンウィークにあたる五・一節です。この時私は中国人の友達の故郷である武夷山に行きました。たくさん旅行はしましたが、この旅行が私にとって一番印象深い旅行です。初めての国内旅行だというだけではなく、初めて14時間もの間寝台列車に乗り、初めて中国人の家に泊まらせてもらいました。友達もその家族もとても親切で、短い間でしたが地元のいろいろな名所に連れて行ってもらいました。初めて麻雀を教えてもらったのもこの旅行です。私はこの旅行で中国人の温かさを感じることができました。友達の家族に会ったのはたった一度ですが、彼らは私が帰国するまで私のことを気にかけて、プレゼントを送ってくれました。もう一度会いに行きたいです。

私が普段生活しているのは北京でしたが、旅行を通して様々な中国を見ることができました。北京は言わずもがな大都市ですが、一旦中心部を離れるとそこには広大な田畑が広がっています。時代の変化とともに中国も目覚ましい発展を遂げていますが、実際には中国の大部分は未発達であり、農村や少数民族が暮らす地域がたくさん残されています。私はそこが中国の面白いところだと思っています。ある地域は近代的な都市で、ある地域には今なお見渡す限りの美しい自然が残されています。また、地域や民族によって文化に違いがあり、習慣や食べ物、言葉まで異なっています。中国はとても広いです。留学中にすべてを見て回ることはできませんが、留学するならぜひ旅行も楽しんでください。

 

留学を終えた今、自分が考えること

 今からちょうど一年前私は中国留学の機会を得ました。私がこのことを家族や友達に話した時、彼らの大部分から返ってくる言葉は「なんでまた中国なの?」でした。日本人にとって、中国と聞いて思い浮かぶものと言えば、「空気汚染」「マナーがなっていない」「パクリ」「反日」など。ほとんどの人が中国に対して良いイメージを持っていないのではないでしょうか。日本で流れる中国に関するニュースといえば大体このような内容ですから、日本人が中国に対してあまり良い印象を持たないのも無理はないのかもしれません。このことに関しては私も例外ではありませんでした。留学前にも中国語を学び、自分から中国留学を志望したわりには、中国に行くことに対して少し不安がありました。これらの不安が実際に留学へ行くことで解消されたかと言えば、それは嘘になります。非常に残念なことですが、想像通りの中国に出会うことも多々ありました。しかしこれ以外にも、中国で見聞きすることを通して、多くの新しい考え方を得ることができました。

 前述したように、中国は地域や民族によってその習慣や食べ物、言語にも大きな差があります。ですから、私たちは中国、中国人というようにひとくくりにして言うことはできません。しかし民族や出身にかかわらず、すべての中国人が共通して重視していることがあります。それは人間関係です。彼らのこの習慣は親密な人に対してだけではなく、見知らぬ人に対しても発揮されます。例えば、中国では電車に乗った時隣に座った知らない人と世間話をするのは当たり前のことです。私が外国人で、聞き取れない部分があったとしても、彼らは私と熱心に交流してくれました。時々おせっかいすぎると感じることもありましたが、中国で右も左もわからない私にとって、中国人の親切は心に深く刻まれました。

 私は留学生として中国へ行き、一つ重要なことに気づきました。それは、中国で様々な背景を持つ人との交流を通して再確認できた異なる文化や価値観を知ることの重要性です。もちろん私たちは一人ひとり異なる文化を持っているので、互いを了解することは簡単ではありません。しかし相手を理解することは必要不可欠です。私はハルビンに旅行した時、あるおじさんに出会いました。少し交流した後、おじさんは私に「国は国、人は人だ」と言いました。聞くところによると、おじさんは日本に対して良い印象を持っていなかったが、交流を通して日本人には良い印象を持つことができたそうです。逆を言えば、実際に話してもみて悪い印象を持つこともあるということですが。いずれにせよ、私たちはお互いをもっとよく知る必要があると思いました。この留学で私は大きく成長できたと思います。この経験を糧にしてもっといろいろなことに挑戦していきたいです。

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