アサンプション大学留学レポート

龍谷大学国際文化学部帰国レポート

レポート作成T.Y

龍谷大学国際文化学部帰国レポート

アサンプション大学 (Assumption University,ABAC,มหาวิทยาลัย อัสสัมชัญ)

留学時期…2012年3月より2013年3月まで

 

留学目的…アジアでの留学を通じて今後発展するアジアを肌で感じる

自身がセクシャルマイノリティでタイに居場所を見つける

卒年次なので卒業論文をタイのトピックで書く

 

諸経費…(1バーツ=3円として換算)

渡航費(往)40000円(マレーシア航空)(復)32000円(シンガポールから)(エアアジア)

滞在費として(ひと月平均)

食費…30000円以下

寮費…0円(交換留学のため)平均5000B(15000円)から借りれる

図書…3000円(セメスター開始のみ教科書代として)

移動費…6000円以上(バンコクに出るためバスやタクシー代としてトータル)

雑費…12000円(もちろんこれ以下で過ごすことも可能。僕の場合は付き合いが多かったため)

大体トータル48000円(16,000バーツ)

滞在の印象として

日本円で48,000円ときいて高く感じるか安く感じるかは人に寄りますが、僕の場合は週2〜3回バンやタクシーで1時間かけてバンコクにでて友人とご飯に行ったりクラブに出ていたりしたのでかなりの高出費だったと思います。食費も僕は食欲が凄かったので人の倍食べていましたが日本で暮らすよりは遥かに裕福な暮らしが出来ました。

寮は大学内にある内寮で、帰宅時間に制限はありませんが生活に凄く制限がある風に感じました。大学内にコンビニやレストラン街もありますが毎日それを食べていると1週間で飽きてしまいました。外の市場でご飯を食べたりバンコクまで出てご飯を食べるのも気晴らしの一つかと。

大学の授業について

全体的な感想

授業は基本的に英語で開かれますが、先生陣は言語クラス意外ほとんどタイ人もしくはインドやミャンマーからお越しの先生ばかりです。先生によって授業中のルールなどバラバラで日本のように定時に始まって定時に終わるってことはありません。また、ネイティブの英語では無いので始めに先生の言うことが全く分からないこともありますが、慣れが肝心です。諦めずについていってください。

各授業に関しては、国際文化学部教務課横の僕の留学レポートを参考にしてください。

留学にするにあたっての気持ちの推移

留学前…

家にお金がない、就活も始まる、ゲイだし日本に居場所がない、日本を逃げ出したい。自分を変えたい。そんな気持ちで留学を思い立ちました。でも、英語圏に行って英語を学びたくない。英語を使って何かを勉強したい。そこで見つけたのがタイへの留学でした。留学費用も安い。日本から近い。ゲイに寛容的。南国。大学の授業が英語。ここしか無いと決め、TOEFLに挑み、面接に挑み、合格をいただきました。日本に居た時の自分は何も自身がなく、ただ言語好きで自分の居場所を必死で探している余裕のない人間だったと思います。

留学中

空港についてまず目撃したもの。ゲイカップル。レディーボーイ。タイ人の無邪気な笑顔。ここがタイなのかと確信しました。海外はたくさんいきました。イギリスへの留学経験もありましたが、留学の意味を覆されたような気がします。自分の居場所はここだと悟りました。誰にカミングアウトをしても「そーなんだー」で終わる寛容さ。日本では絶対出会えてないような方との交流、時間の流れが緩やかな感じ、タイ人の陽気さ、全てが自分を刺激しました。また、今までずっとしたかった「バックパッカー」になり、タイ周辺国を旅し、自分の知らない自分に巡り会うことも出来ました。それは、思い切りの良さとか、自分の英語力だけでなく、自分がどれだけの余裕を持っているのか、どれだけ自分の余裕が広がったのかを見ることが出来ました。留学中は、勉学や旅意外にも、就活についても考えることになりました。現地で働いてらっしゃる日本人の方との交流です。ポジションも様々で、代表取締役から屋台のスルメやさんまで様々でした。その人たちとの交流は自分にとって大きな刺激でした。就活をとことん嫌がっていた自分でしたが、前向きに、自分のキャリアを積むことを意識して就活をするようになりました。

 

留学後

日本では、目に見える人々の99%が日本人で始めは話す内容や話の出し方に慣れなくて日本人なのになぜか自分は”外の人間”という気分になり、自分がいかにタイに染まっていたかを実感しました。また、日本人と呼ばれる人々が”同じ”に見えたのもあって、到着した直後空港で動揺してしまったこともありました。怖くなって友達に迎えに来てもらうまでトイレで隠れてしまったのも、機内の日本人に外国人ぶって自分のアイデンティティがまだタイにあるということを見せる為に英語で話かけたのも今では懐かしい思い出です。今2週間が経過し、実家が京都の田舎なので個人的に実家に居るのが嫌だったので友達総動員でいろいろな場所に一緒にいきました。このおかげで日本を見る目が完全に変わっていたことが再確認されました。いままで地元でそれが”当たり前”に感じていた人、建物、物、全てがとても懐かしいのに新鮮さを感じるという不思議な感覚になりました。日本のお寺、神社から、普段行っているようなファミレス、居酒屋、道までもがとても新鮮で、”なんだか外国に居る気分”を日本でも感じることが出来ました。その分大きな反動がありました。それは、人々の文化です。タイでの暮らしは、毎日が違う人と出会うことで新鮮さがありましたし、とても刺激的でした。個人を尊重してその人の意見を受け入れるということは日々あったので日本に帰ったときに自分の中から蘇ったかのように”人に合わせる”や”空気を読む”等の行為が自然と出てきて自分自身が気持ち悪くなった経験もありました。日本では、団体に入ると周りを見て行動するという日本では一般的な光景も僕にとってはとても奇妙に感じるようになりました。例えば

みんなが誰かの(特に上司)意見を待っている。帰宅しても良いのに上司の帰宅時間を待っている。トイレにいくときも”トイレに行っても良い?”と友達同士の時間に融通のある時にも関わらずトイレの前で確認をする。レストランの店員さんがお客様に謝罪の念が無いにも関わらず何か行動するかけ声のように”すいません”と言い相手の様子をうかがって行動をしている。相手のことを読みすぎて相手が何もしていないのに逃げる。お誘いをしたときに”No”と言わずに”多分いく”と言っていくかいかないかを曖昧にする。そして、どういうメンツがくるのかを確認して誰か気の合う子がくれば行く。等自分が日本人であることは確かで、その心は備えてあるとタイでは思ってましたが、日本で現実におきていることは自分の思っていること以上で一番大きなカルチャーショックだったかも知れません。

 

以下、留学レポートより

・留学前にしておくべきこと。準備物等

英語は出来る限り勉強しておくこと。留学中はほぼタイ人を中心に様々な人と英語で会話をしなければならずネイティブばかりの環境では無いので相手の話を先読みするすべを身につけておけば留学中難なく過ごせる。

予防接種などは、山奥等人里はなれた場所に行く予定が無い限り必要ない。ただ、日本と違い狂犬病の危険性があるので不安ならば受けておいた方がいい。準備物に関しては、常備薬のみ日本から持っていけば後はこっちで全て調達出来るので特に日本から買っていく必要性は無し。バンコクには、ツルハドラッグ、富士スーパー、伊勢丹など日系の小売店が多数あるので特別自分の使いたい物意外は現地調達の方が安いのでこっちで準備した方がベター。

・送金方法

Citibankを日本で発行して現地のATMでお金をおろしていた。手数料は一律150バーツなので細々おろさないで1か月分をおろして現地の銀行口座にお金を入れていた。大学で入学手続きをする際に銀行口座を作ってもらえるのでそこに入金するなり各自自分のやり方で保管すること。

・お金の価値観

自論ではあるが参考程度にタイでのお金の価値観について説明しておきたい。タイには小銭が25サタン、50サタン、1バーツ、10バーツがあり、お札が20バーツ、50バーツ、100バーツ、500バーツ、1000バーツがある。1タイバーツは日本円で約3円(2013年現在)なので日本円を使っていた皆さんにはタイの物価は凄く安く感じるが、タイ人平均所得(初任給15000バーツ、30代平均所得30000〜バーツ)を考えると安易に高額のお金を見せることは慎んでいただきたい。ちなみに、私の観点から見た1000バーツはタイ人からすれば日本人が考える10000円より高く、10バーツは日本円で100円程度の価値なので、お金をとられる心配があれば必ず銀行口座等安全な場所で保管すること。タイでの物価については、コーラが一本15バーツ、BTS(バンコクの高架上の電車)初乗り運賃15バーツ、タクシー初乗り運賃が35バーツ(1kmまで35バーツでそれ以降0.3kmおきに3バーツ)バンコクからチェンマイ(700km)夜行バスで700バーツ(1等車エアコン付き)バンコクの屋台でタイ料理は大体30バーツから。携帯電話料金(3GBまでの高速データ通信+200分の無料通話)799バーツ(本体代別)、吉野家の牛丼並盛り100バーツ、韓国式焼き肉食べ放題300バーツ。

・留学中の旅行の際に

タイに留学したらぜひ一度バックパックをすることをお勧めする。近隣諸国は陸つながりでパスポート一冊でどこにでも旅に行けるのもタイの魅力。しかし、留学中はビザの関係があるので留学中にタイを出国する際は必ずイミグレーションでRe-entry permitを取得すること。取得しないと学生ビザ扱いでの入国が出来なくなりビザを再手続きするはめになる。イミグレーションは大学側が定時にバンを出しているのでそれを使う。

・バンコクの町並み

バンコクは日本の都市部に劣らないほどの経済発展を遂げている。また、日本人の多く住む地区、プロンポンやトンロー、アソーク地区には日本食を始め様々なレストランが営業しており日本食が恋しくなればそこに行くと良い。また、サイアム駅周辺には大型ショッピングモールや卸し市など高級品から卸値で売られているものまで存在するので買い物をするにはもってこいだと思う。また、カオサンやチャオプラヤー川周辺はお寺などの観光名所がたくさんあり、週末に遊びに行くにはもってこいだ。

・服装について

タイには3つの季節に分かれている。1月終わりから4月は暑期、4月から11月頃まで雨期、11月から1月まで乾期で、それぞれの季節で着る服が微妙に違ってくる。私の場合は、汗っかきでよく歩くので夏期は半袖半ズボンに靴かサンダル、雨期はノースリーブに羽織る物をもって半ズボン、乾期は常に長ズボンに半袖の格好でいた。また、大学での服装はタイの文化にのっとって制服を着用することが定められているので制服を着るように。また、日本と違いクラブへ行く際は必ず男性は靴を履き、出来れば長ズボンをはくこと。タイでの服装は日本よりも自由な雰囲気だが、TPOにあわせた服を着るように心がけること。

・食事について

特に大学内の寮に住むのであれば心がけたいのが栄養について。この寮にはキッチンはあるが機能していないのでどうしても外食が日々の食事になる。好きなものをたべるのも良いが基本的に大学内のレストラン、食堂、外の市場の屋台などは揚げ物、油物、肉ばっかりなので太りたくない、肌荒れしたくないのであれば食事には注意すること。また、市場や屋台での食事は出されているものをよく見極めてたべること。たまに虫が入っていたり腐っていたりして、腹痛の原因になる。

・大学について

先生方は、言語系の先生をのぞき大部分が英語を話すタイ人だが、授業中ふとした瞬間にタイ語を話すので、理解できないのであればしっかり自分の存在を示し、英語を話してもらうこと。でないと、ずっとタイ語で説明する先生もいるので注意すること。また、どうしてもタイ語訛りの強い先生もいるので、分からなければ質問すること。

・暮らしの中のカルチャーショック

恐らく経験するであろう私の感じたタイでのカルチャーショック

→約束の時間は、その時間の前に到着することではなく、あくまで目安。大体みんな少なくとも10分以上、ひどい場合は3時間や最悪ドタキャンされることが多い。

→レストランで終了間際に入店したら食事中に掃除を始められたり会計しなければならない。

→レジにレジの台数以上の人数がいても一人一人自分の仕事に必死なので早く会計してくれるとは限らない

→ルームメイトがタイ人だったら、脱衣所が白い粉で汚くなることがあるが、シッカロールの粉なので無害

→デパートや地下鉄に乗る際に鞄の中を確認して金属探知機に通されることがあるがテロ防止のため協力すること

→街中に国王の写真が飾られている。絶対に国王の悪口を言う、国王を侮辱するなどの行為をしないこと。国外追放される。

→映画館や、朝8時と4時ごろに大きな公園に行ったら国歌が流れる。必ず立ってその場を動かないこと。

→街中でキャッチに捕まっても必ずそこで立ち止まり、はっきりと断ること。そして、喧嘩しないこと。銃を突きつけられる可能性がある。

→よく鼻に白い筒のようなものを入れて吸ってる人がいるが、それはヤードムというミントの匂いなので決してドラッグではない。

→食用の虫を屋台でその辺で売っている。チャレンジャーは試してみては。

→男性化粧をしてる方が多い。特にゲイの販売員などに多い。

→タイにいる男性は5つの性別にさらに分けられる。ストレート、バイ、ゲイ、手術前のオカマ、女になった男。

→タイでのマンゴーの食べ方は日本とちがい、甘く炊いたお米の上にマンゴーをのせ、ココナッツミルクをかけて食べる。

→タイでコーヒーを頼むとガンガンに砂糖を入れられて出てくるので、ブラックを飲みたい方は砂糖無しと告げること

→そして日本語の発音でコーヒーと注文しないこと。(危険度A)

→大学の授業ではよくグループワークをする。グループによっては機能しないグループもあるので自分から主体的に動くこと。

→警察にとがめられても、タイを愛してる!や、お金を渡せば見逃してくれる(人に寄るが…

・タイでの生活で楽しんだこと、苦しんだこと

一番楽しんだこと

タイでの生活は私にとって日本にいる以上に開放的でさっぱりした人間関係で居心地がよい。タイに居るとなぜか人は乗りがよくなるみたいなので気兼ねなく誰とも友達に慣れるのも魅力の一つ。また、近隣諸国が陸つながりでアクセスしやすいので旅行も安く行くことができる。また、世界中から人が押し寄せるバンコクでは、日本ではなかなか会うことのない人たちもたくさんいて、その人たちとの交流のチャンスもタイで楽しむ一つの醍醐味では無いでしょうか。また、バーや飲み屋で出会う人には経営者やオーナーの方が多数いらっしゃり、話すチャンスもその辺にころがっているのですごく勉強になる。

一番苦しんだこと

人に寄りますが、私は日本でのコミュニティに慣れていたのでこっちに来てタイにいる人たちは人に深入りしないような気がしてすごく寂しいと感じた。とても仲良くしてくれているのになにか心細い気持ちがいつも残り、本当に友達が出来るのか心配だったが、すぐに慣れる。この国では人間関係はさばさば。

また、おなかが慣れない内に辛いものをたくさん食べたり、屋台で食べたものがあたったりしたのも苦しかった。次の日はそれで遅刻することが多々あった。

校内に住んでいたので食べるものも限られ、毎日食べるものが一緒になって食事の楽しみが前よりも半減した。

・留学を終えて今自分が感じること

この留学は私の人生を180°変えた留学だったと思う。日本を悪く言うつもりも無いし、むしろ私は日本の文化は好きな方だが日本の狭い環境におかれることが私には無理だった。タイにきて様々な人と広く浅く時には日本でのコミュニティよりも深く交流をはかることができ、かけがえの無い1年だった。今もし現状を打破したい、今の環境に居座れないという人にはぴったりの国だと私は思う。