上海師範大学留学レポート
上海師範大学【2015 年度後期帰国】交換
レポート作成K.M
《留学生活》
上海師範大学に留学して一番よかったことは日本人が少なかったことです。一年を通して一番仲がよかったのは韓国人の友達でした。クラスでも日本人の割合は1人か2人ほどで、日本について聞かれた時答えるのは自分一人しかいないことも多くありました。それは同時に改めて自分を見つめる機会になり、自分の未熟さと無知さに気づくことも何度もありました。
私は日本にいた時正直遠慮しがちのタイプで、自分が我慢すれば物事はうまくいくと考えるタイプでしたが、より良い関係と環境を求める思いが強いからか、ここで出会った友達に対してはしっかりと自分の意見を伝えられるようになりました。ここからわかるのは、自分の性格が日本にいる時と少し変わったということと、相手を外国人としてでなく、国を超えた友達として付き合いたいと強く望んでいたということです。今になって思うと、遠慮せず、自分の意見をはっきり言うということがマイナスに出たことはありませんでした。自分が正直になると相手もまっすぐと自分と向き合ってくれます。これからの人生の中で全てに通用することはありませんが、自分が生きる上での人間関係のコツというものをここで知ることができた気がします。実は私が出会った中国人はこのようなタイプの人がとても多くいました。お互い打ち解け合うまで少し時間はかかりますが、お互い心を開けるようになると遠慮や不安を感じさせず、一気に親密になります。私はその面でも中国人との付き合い方が心地よく感じ毎回とても楽しく過ごすことができました。
《語学について》
語学に関して言うと、中国人と自然に会話ができるようになるまで正直時間がかかりました。留学に来て初めの半年間は、自分の勉強量が足りないから、うまく話せないのが申し訳ないからと正直現地の人と多く関わろうとしませんでした。でもそれは大きな間違いなのです。まず根本的に同じ“中国語ができる”でも読み書きができると、会話ができるは全然違います。もちろんある程度の基盤があり、聴く力と発音が正確であるのが前提になりますが、勉強面で考えても現地にいるからこそできることがたくさんあるなと途中で気付きました。後半になって中国人と遊んで過ごすことが多くなりましたが、もっと早く自分からいろんな世界に飛び込めばよかったなと思います。実際に中国人と過ごすと普段勉強する中では習得できない生きた中国語や、話すスピードを聞き取る力の向上、五感でいろんな中国を感じ取ることができるのです。留学とはただそこの語学を真面目に勉強するだけではなく、現地の生活に溶け込み、語学の先にあるものを感じることなのではないかと改めて思いました。授業についてですが、大学での勉強は自分のレベルにあった授業を提供してもらえるスタイルだったので、もともと中国語のレベルが高ければ高いほどより高いレベルの授業を受けることができたということです。留学前に大学の語学の授業だけでなく、自主学習にもっと努めておくべきだったと思いました。やはり何事も始まりのスタートは早ければ早いほどいいということです。
《中国の深さ面白さ》
一年生活している中でいろんな中国を見ることができました。日本にいた時に感じることのできなかった中国がたくさんありました。自分の知らない中国がたくさんあり、逆に気づかなかった日本の姿を見ることができました。中国と日本は同じアジアで隣同士に位置していますが、政治体制から国土面積や人口、基本を構築する素材が違いすぎるので、自分が日本で感じることがなかったこと、新たな発見、疑問に思うことなどたくさんありました。滞在中に中国国内旅行に一ヶ月行きました。南の雲南省から北の北京まで列車に乗って旅をしましたが、中国国内の地域ごとの変化や違いが多くて本当に驚きました。全部の地域が上海ほど発達しておらず、まだまだ少数民族が住んでいるところや、日本では見れない綺麗な景色もたくさんありますし、地域ごとの特徴的な美味しい中華料理を楽しむことができました。
日本に来るまでは伝統的な堅いイメージの中国でしたが、今まさに少しずつ外へ開かれてきているのではないかと思いました。これは場所と人によって少し違ってきますがこれからの国際社会での中国の今後の可能性を思わせる場所がまさにここ上海だと思いました。上海ではアジア人はいうまでもなく外国人がとても多く、中国語を話す外国人も少なくありません。よって上海では外国人がとても生活しやすく、心配しなくてもなんでも揃っています。多くの日本人が駐在で働いているので色んな方面から中国のことを知ることができました。
今や日本と中国の間には政治問題、領土問題、たくさんの問題を抱え、メディアを通して私たち市民の中に間違った印象が植えつけられている気がします。自分の目で見て聞いた中国は日本にいた時と全く違いました。同じ人間なのに、アジア人同士だと理解できることもたくさんあるはずなのに、お互いに嫌なところを探り、近づこうとする気持ちや交流の機会も少なくなってきた気がします。一番怖いのは何も知らない、知ろうとしない人たちが増えていくことです。内側だけばかりを見ていると外側もわかりませんし、外側から見た内側も別のものに見えるのです。知ろうとする欲を無くしては、国際理解など不可能だと思いました。私がこの留学を通して思ったのは伝えることの重要性です。自分の口から自分の言葉で伝え、もっと多くの人が交流する楽しさと中国の良さに気づいてもらいたいです。