バレンシア大学留学レポート

バレンシア大学【2017年度前期帰国】交換

レポート作成M.R

 スペインから帰国して1か月が経とうとしており、現在は就職活動をしています。今では留学が夢であったのではないかと思うほど遠い昔のように感じます。

 バレンシアの生活を振り返ると本当に毎日充実していて、勉強以外にもスペイン留学での最終目的であったフラメンコ留学やスペイン国内、国外の旅行など新たな経験やチャレンジができました。太陽を浴びながら自転車で通学して大学や語学学校に通って勉強し、ビーチに行ったり美味しいスペイン料理を食べたり飲んだり、その当たり前の日々が本当に幸せであり、その中でたくさんの出会いや思い出ができました。スペインの文化やスペイン人のいいところ、魅力を十分に感じ、経験できたと思います。スペインがより好きになり、本当に素晴らしい国であるなと思いました。

 しかしカルチャーショックを感じ、落ち込んだこともありました。それはスペインでの生活が半年以上経ち、もうすっかりスペインに慣れてきたなという頃でした。 日本の大学ではチャイムと同時に講義が始まり、教授が来る前に机に座って待っているのが一般的ですが、バレンシア大学にはチャイムがなく、休み時間が設けられていません。そのため例えば同じ講義室で別の講義が12~13時、13~15時と連続しています。後期の講義初日、数分前に教室に入ろうとするとまだ前の授業が終わっていなかったのですが、知らずにドアを開けてしまったため怒られたことがありました。「次の授業は13時からなのだから次の授業は13時からだ」と言われたのですがその時はすでに13時ちょうどでした。結局自分の講義は担当の教授が遅れてきたので13時15分から始まりました。日本人の私にとって、教授が来る前に静かに席に座って待っているというのが正しいという認識だったので、この時はとてもカルチャーショックを感じました。半年以上もスペインに住んでいて、この国のことをわかったつもりでいたのにまだまだだなと痛感しました。

 このように基本的に大学の授業は遅れて始まることが日常でしたし、それが普通であり、他にもレジで買い物しているときに他の店員さんと話し込んでいて仕事が遅かったりと、とにかく日本とは時間の感覚や価値観が違うなと感じました。しかしのんびりと店員さんがしていたらのんびりとお客さんも待っていたり、全く知らないおばさんがすごく並んでいるわね、と話しかけてきてそこから会話が始まったり、物事に対してのおおらかさや寛大な心は自分も持ちたいなと思いました。一方、スペインに約一年間住んでみて日本のマナーや対応の速さ、丁寧さなど日本の文化や日本人の誇りに思う部分に気付き、大切にしていきたいと思うところも同時に見えてきました。

 バレンシアで生活するなかで、スペイン人や他の国の留学生と関わり、スペイン語という母国語でない言葉を話していても結局話しをしているのは当たり前ですがその人自身、自分なのであって、何語を話していてもその人のコミュニケーション力や人間性が出てしまうと感じました。表情であったり立ち振る舞いなど、異国の地でその土地の言葉をうまく話せないときは特に重要になってくると実感しました。しかし関わっているのは個人である一方、様々な国の人と関わるうえでそれぞれの国のイメージや印象がその国の一人と話すことで固定概念になりかねないですが、どうしても形成されてしまいます。海外に出てしまうとアジア人や日本人というカテゴリーの中で、話し手の日本という国のイメージや印象の形成に影響を与えたり、変えてしまいます。私自身、様々な国の人たちと関わるうえで、それぞれの国のイメージが一人の個人によってできましたし、その中で新しい発見や興味が広がりました。そこが海外に出たり留学においてのおもしろい部分であり、注意しなくてはいけない部分でもあると思います。

 冒頭にも書いた通り、私は現在5年生です。留学前は、4回生の後期に出発というかたちだったので交換留学をするということは大学を4年で卒業することができなくなってしまい、就職活動も帰国後の7月開始となるので遅れをとってしまう、などと不安要素があり留学することを迷った時期もありました。しかし学生の今しかできないことがあると思いますし、留学できるタイミングは人生の中でそうないと思います。この留学によって犠牲にしたものもありますが、それ以上に貴重な経験、大切な思い出、出会いや学んだこと、得たものはたくさんありました。今はバレンシア大学に交換留学ができて本当に良かったと心から思います。

 

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